Nao goldworkの粒金技法
| ご挨拶 | 粒金技法の解説 |
粒金技法(Gold granulation)は、制作の手順が公開され、
制作される工房や研修コースも増えました。
なぜ、「粒金技法」が必要なのか。
(ポイント1)なぜ、粒金技法を使って、金製品の制作をするのか。
→粒金技法を使えば24金を使った製品の制作が簡単にできるからです。
(ポイント2)なぜ、24金しか指輪や金製品の制作に使わないのか。
→作業後に24金の粉や破片を集め、強力な磁石で鉄の粉を抜きます。
これを溶解すると24金に戻りますので次の制作で簡単に使えます。
18金では、溶解すると含まれる銀や銅が酸化し真っ黒になります。
(ポイント3)なぜ、粒金を付けていくのにロウ材を使わないのか。
→金製品の接着には金ロウ 18Kが使用されます。2g(融点810度)で
2026年の価格は60000円を超えました。問題は、金ロウに添加された
金属です。ロウ材で粒金を溶接すると、流れたロウが酸化しますが、
粒金の下からはみ出たロウ材を除去することはできません。
このため、粒金技法では金ロウを絶対使用しません。
(ポイント4)加熱(拡散接合)だけで、粒金の接合はしないのか。
→ 粒金技法について「金属の熱拡散を利用して、地金と粒を一体化
させます。」との解説がありますが、これは、明らかに誤りです。
拡散接合(diffusion bonding)は、接合する材料同士を密着させ
母材の融点以下の高温下で金属表面を加圧し、接合面に生じる
「原子の熱拡散現象」を利用して一体化させる技術です。
粒金を加熱しながら、工具で粒金の上から押して接着すれば
柔らかい黄金の粒金は簡単にゆがみ、つぶれてしまいます。
「粒金」を加熱するだけで上から押さないでも拡散接合により
付くこともあります。しかし、粒金は極めて小さい「点」で
土台に付いているだけなので、衝撃で取れてしまいます。
これでは、指輪のように生活の中で使用すれば、容易に粒金
は欠落していきますので、ジュエリーに耐久性がありません。
(ポイント5)「粒金技法」では、粒金の接合のために何を使うのか。
→ 酸化銅粉が必要です。これを炭素を含む糊で練って、粒金と土台の
金の板の間に置き、粒金を固定します。還元炎で加熱すると、この
酸化銅粉が銅に還元され、低温で液化し粒金と土台が接着します。
1995年には、オンライン コミュニティ「Ganoksin」が誕生しました。
このサイトで、アーハルト・ブレポール教授による「粒金技法」の解説
「Goldsmithing Granulation Technique」を読むことができました。
Prof. Dr. Erhard Brepohl
https://www.ganoksin.com/article/goldsmithing-granulation-technique/
当時、私はインドネシアのバリ島に行く機会が何回かありましたが、
粒金の工房では、教授の解説のとおり、銅化合物で接合が行われていました。
これを粒金の接合工程にまとめました。参考になればありがたく思います。
(工程 1)溶解した金を落下急冷し、飛び散った金粒を大きさで選別し粒金を用意する。
(工程 2)純銅の板を加熱し、焼成酸化させ、酸化した表面から酸化銅の粉末を作成。
(工程 3)乾燥した豆をすりつぶし、焼成時に炭素を放出させるための原料粉末を作成。
(工程 4)酸化銅粉と炭素原料粉末を練り、粘り気があり塗布に適したペーストを作成。
(工程 5)粒金を接合させる金製品に粒金を接合させる箇所の印を油性ぺん等で付ける。
(工程 6)直径0.5mm程のペーストを接着箇所に付け、上に粒金を押しつけ、乾燥を待つ。
(工程 7)乾燥により粒金が固定できたら、炭やバーナーなどの還元雰囲気で加熱する。
(工程 8)酸化銅は還元され、液相の金属銅へ変化し、粒金と金製品を接点で接合する。

現在、世界では、「粒金技法」の訓練コースがいくつも開講されています。
画像検索(gold granulation)や Youtubeで粒金の作品を見てみましょう。
また、過去の作品は、ebay や etsyに多数出品されており、購入もできます。
イリアス・ララウニスは、現在も粒金を付した作品を受注生産しています。
Akeloとして知られる Andrea Cagnetti の功績は大きく、その作品は
博物館に収蔵されていますが、インターネットで見ることができます。
ザフィロ(Zaffiro)のように優れた作品を発表する会社があります。
https://lalaounis.com/product/
https://www.akelo.it/en/jewelry/
https://zaffirojewelry.com
参考文献
大橋 修,成井美穂,相原健作,保坂雅喜,稲垣 肇,津屋 修,原田一敏:
古代のマイクロ接合・粒金,
日本金属学会春期講演大会概要集,(2015),206.
(以下、文献から抜粋)おわりに
紀元前の粒金作品や,その技法を調査すると,直径0.5mm程度の金粒の径と
その位置を制御して,立体的に接合しており,その接合技術の高さを知る
ことができた. その接合法は,ほう砂,塩類などの「フラックス」,
粒を固定する「糊」と「銅化合物」の混合ペーストを貴金属の粒(金合金,
銀合金)に塗布して,木炭中で加熱する.還元雰囲気中での加熱であるこ
とから,銅化合物が還元され,貴金属と共晶反応でろう接される.
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